2007年10月08日

政府系ファンド(SWF)のインパクト

 外貨準備の積極運用のための政府系ファンドの存在感が増している。この外貨資産の投資機関は、ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)と呼ばれており、日本語では国富ファンドと訳されている。このSWFが世界の金融市場で影響力を強めている。
 そもそもSWFの目的だが、大きく2つに分かれているようだ。1つは、資源の輸出収益など資産の海外運用を主目的にするもの。もう1つは、自国通貨切り上げに伴う外貨資産の評価損のカバーや、外貨買い入れのための国内借り入れの調達金利と外国国債金利の逆転による損失のカバーを主目的にするものだ。
 後者の例として、9月末に外貨準備を運用する専門会社を設立したばかりの中国のSWFが最近の話題になっている。日本でもSWFを設立すべきかどうか、時々議論になるようだ。両国とも外貨準備の多くを米国国債で運用している。
 前者の例は主に産油国に集中している。アラブ首長国連邦(アブダビ投資庁)、イラン(石油安定化基金)、クウェート(クウェート投資庁)、ノルウェー(年金基金)、ブルネイ(ブルネイ投資庁)、ロシア(安定化基金)などだ。石油収入で生じた金余りを、株式などのリスク資産でより積極的に運用していこうとするのが特徴だ。
 ただ産油国の投資には不透明な部分も多い。多くが英国など欧州系の金融機関などを経由して投資されるため、詳細がわかりにくくなっている。海外資産をドルからユーロに移す動きもみられる。米政府は今月開催のG7で、SWFの監視強化を提案するという。
 SWFの資産規模はすでに300兆円を超えるといわれる。実態が不透明なまま予想もしない巨額の資金が動くと、世界の金融市場に与えるインパクトも極めて大きくなる恐れがある。これまでの世界の金融市場は、先進国を中心に協調して安定化を目指してきた。これからは巨額のSWFを運用する産油国など新興国も、世界の金融市場の安定化に貢献していく必要性が強まることになる。

(連携サイト「日本シンクタンク・アカデミー」)
 http://www.npo-jtta.jp/
posted by 岡本憲之 at 08:39| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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