2009年11月15日

南アフリカランド暴落を引き起こした取引

 最近、南アフリカランドの暴落事件が話題になっているようだ。事件が起きたのは先月10月30日、取引所為替証拠金取引の「くりっく365」での出来事である。直近約定レートに比べ約30%円高の8.415円の約定が成立してしまったという。
 その後の取引所の説明によると、当日当該時間帯では、NYにおける米ドル等主要通貨や株価の急落が発生、南アフリカランド等マイナー通貨の流動性が急速に低下していた。取引終了間際の午前4時59分、マーケットメイカー1社が、同社の取引システムにしたがって、極めて広いスプレッドの市場レート「南アフリカランド/日本円:11円台〜8円台」を提示したところ、11円台がすべて約定した後、残った8.415円のビットも瞬時に約定したという。その間33秒の出来事、つまり特別のシステム障害ではなかったとのこと。
 約30秒間での瞬間的なレート提示およびその他のレート提示がないという特殊状況での約定ということで、「くりっく365」は今月11月6日、損失を被った投資家に対する救済措置を発表している。取引所では今後監視体制を整備、市場実勢からの乖離をチェックする機能を強化するという。
 今回の出来事はもちろん違法行為ではないが、発生確率は非常に小さくても、機械的取引に潜む起こりうるリスクを浮き彫りにした事件であった。

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2009年11月14日

投信概況(10月中)

 恒例の投信概況(10月中)が投資信託協会から発表された。公募契約型証券投資信託(株式投信、公社債投信、MMF)の結果は以下の通り。

設定額 : 5兆3861億円
解約額 : 5兆 525億円
償還額 :     192億円
差引き :     3143億円(資金増加)

10月末純資産総額 60兆1221億円
09年09月末比        7366億円増加(うち、運用増4223億円)

 08年9月から12月まで4ヶ月連続の資金減少となっていたが、09年1月は一旦資金減少に歯止めがかかった。しかし、2月の結果は残念ながら883億円の資金減少となり、資金流出の流れに歯止めがかかったとはいえなかった。3月の結果は、引き続き資金流出が流入を上回ったが、その額は65億円と大幅に縮小。そして4月は1449億円の資金増加、5月は5049億円と大きく資金増加となった。しかし6月は466億円と資金増加幅が大きく縮小、完全に資金増加へ流れが転換したといえるところまでには至らなかった。しかしその後7月は5779億円、8月は5290億円、9月は3562億円、そして今回は3143億円の資金増加で、純資産総額も60兆円を回復、資金増加の流れが確実なものになってきたようである。

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2009年11月13日

貧困率−不名誉な記録

 最近日本でも貧困率を発表するようになった。世帯所得の中央値の半分以下の所得しかない世帯の割合を示す数値である。
 今回発表された数値は2006年の統計データに基づくものだが、日本の一人親世帯の貧困率は54.3%で、OECD加盟30ヶ国中最も値が高かった。最も貧困率の値が小さいのはデンマークの6.8%、日本の次に値が高かったのはアメリカの47.5%である。
 ちなみに国全体の貧困率は15.7%で、これもメキシコの18.4%、トルコの17.5%、アメリカの17.1%に次いで高い数値となっている。何とも不名誉な話である。
 日本の場合、大人二人以上いる世帯の貧困率が10.2%であることを考えると、一人親世帯の貧困率の高さが突出しているのがわかる。子供を抱えた一人親が働きにくい環境であることは明らかである。
 少子化になかなか歯止めがかからない現状を考えると、小さな子供がいても安心して働ける環境の整備は急務である。「コンクリートから人へ」を掲げる新政権には、是非効果的な政策の実行を期待したい。

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2009年11月12日

大きな政府vs小さな政府−危機後の政府の理論的支柱は?

 政府と経済の関わりを論ずる場合、政府が財政出動で需要を生み出すなどその関与度合の大きいのが「大きな政府」、一方民間にできることはできる限り民間に任せるのが「小さな政府」である。この政府の役割に関する二元論、大きな時代の転換点を堺に変化していくような気がする。
 ニューディール政策など大恐慌の頃から始まった大きな政府への転換、その後1980年頃まで続いた。この間大量生産大量消費のための産業基盤は整備され、冨が多くの人々の手に行き渡るようになった。そして停滞の時代へと入る。この頃米レーガン政権や英サッチャー政権の登場で、世界の流れは規制緩和で民間の活力を引き出す小さな政府へと移って行く。
 この小さな政府は、富の供給者側を活性化させることには成功した。様々なアイデアや商品が生まれ、グローバル化で世界の市場が拡大したことと相俟って、企業は収益を拡大させることができた。そして今回の金融危機が起きる。
 現状各国政府は、財政出動によって需要を創り出すことに躍起になっている。つまり大きな政府への転換である。もっともこの転換は、あくまで景気底割れを防ぐための一時的なもので、将来にわたる本格的な転換ではないとの見方が一般的である。
 しかし危機が終わった後、再び以前の小さな政府に戻るかというと、それにも懐疑的な見方は多い。少なくとも今回の危機を引き起こした金融取引などに対する政府の関与は以前より強化されるであろう。ただそれよりもっと本質的な問題は、経済成長を通じて人々に物質的な富が行き渡った今、いくら規制緩和で供給側を刺激しても、消費者は生産された物をあまり買わなくなっている。したがってその点からも、単純に小さな政府が良いとは言い切れないのである。
 それでは次は一体どんな政府が望まれているのか。その答えを出すのは容易ではない。大きな政府のケインズや小さな政府のフリードマンのような、危機後の新たな政府論に理論的支柱を提供する経済学者がいまだ現われてこないのが良い証拠である。ここは一刻も早い天才経済学者の登場が待たれるというものだ。

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2009年11月11日

ヒステリック?な財務大臣−危機感は本物?

 藤井財務大臣はインタビューで、最近の長期金利の上昇傾向に危機感をあらわにしていた。借金が増え、国債の消化が円滑に進まなくなる恐れを懸念しての発言と思われる。
 折しも財務省は10日、9月末の国の借金(残高)を発表した。6月末より4兆2669億円増の864兆5226億円と過去最大になった。麻生政権による景気浮揚のための財政出動で、普通国債が563兆2530億円と、6月末より8兆8289億円増えたことが大きな要因である。
 日本国債は94%を日本人が買っているから安心だといっても、これだけ借金がたまってくるとさすがに市場でも、国債の需給悪化懸念が燻り始めたということか。
 本ブログで何度も書いているが、今月IMFがG20の財政見通しを公表している。それによるとこのままいけば、2014年の日本の借金は、GDPの約2.5倍になると予想している。ちなみにG20平均が約0.9倍、うち先進国だけでも約1.2倍となっており、日本の突出振りがうかがえる。
 IMFのデータは地方を加えた国全体の借金であるが、今年7月のレポートでは、このままでは日本の借金が2019年に金融資産を上回るとの見通しも出している。藤井財務大臣がヒステリックになるのもわかるというものだ。
 残された時間はあと10年、この間に何とか日本の財政健全化に向けた道筋をつけないと、それこそ手遅れになってしまうかもしれない。その危機感を全省庁が共有することから始めれば、現在事業仕分け中の行政刷新会議にも何とか協力しようとの気運が盛り上がってくるのではないだろうか。

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2009年11月10日

金融危機後−8割経済が定着するのか?

 高名な経済学者の野口悠紀雄教授は、今後わが国ではしばらく8割経済が続くと主張されている。つまり雇用は2割過剰、設備も2割過剰、結果製造業は2割縮小となる。皮肉を込めておっしゃっているのかもしれないが、あながち冗談でもないようだ。
 確かに金融危機前の日本の経済成長は外需依存、それも米国の過剰消費に依存した成長であった。中国向け輸出の多くも、最終的には中国経由米国向け輸出であった。その米国が過剰消費の調整中であり、しかもその調整はかなり長く続きそうであるからだ。
 危機前の米国は、住宅バブルを中心とした信用バブルが消費を牽引していた。そのバブルが崩壊した今、米国は再び過剰消費には戻らないだろうという見方すらある中、米消費のかわりとなる次の消費の牽引役が見つからなければ、8割経済が続くことも大いにありうるということか。
 よくバブルがバブルを救うという。米住宅バブルは、その前のITバブルの崩壊を救った。そして今の住宅バブルの崩壊を救う次のバブルはありうるのか。それによって、8割経済が定着するかどうかの見方がわかれるのではないか。
 バブル自体の善悪は別として、住宅バブルのような大きなバブルはもう起きないと考えれば、8割経済はしばらく続くであろう。逆に新たに大きなバブルが発生すると考えれば、意外と早く8割経済から脱却できるかもしれない。
 次のバブルを期待するのは少々不謹慎だが、期待せざるを得ないのもまた事実である。

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2009年11月08日

G7からG20へ−不均衡是正がメインテーマ

 今回の金融危機前の世界経済は、米国の過剰消費が牽引してきた。中国など新興国は、米国への輸出超過(貿易黒字)を通じて外貨準備を積み上げてきた。結果、米国は大幅な経常赤字に陥った。この構造的な不均衡が、ついに持続可能な限界を超えたため、今回の危機が起こったとの見方がある。
 今月6日〜7日に英セントアンドルーズで開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、不均衡是正が主要議題であった。
 かつて世界経済をリードしてきたのは先進国会議のG7であった。確かに昔は世界の不均衡の主役は日米であり、その是正についての議論はG7の範囲でも可能であった。しかし今の不均衡の主役は米中となり、もはやG7の範囲では解決不可能となっている。必然的に中国など主要新興国を含むG20に議論の場が移ることになる。
 1990年代のアジア経済危機、当時の新興国から先進国の資金が一斉に引き上げられたことが原因で起きた。それに懲りた新興国は、危機対応力を強めるため、ひたすら外貨準備を積み上げてきた。おかげで今回の危機で新興国は、比較的早く立ち直れそうである。逆に米国など先進国は、危機からなかなか立ち直れないでいる。
 不均衡の主役が先進国(米国など)対先進国(日本など)から、先進国(米国など)対新興国(中国など)に移った今、G20の役割の重要性は否が応でも増している。

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2009年11月07日

過去1年の株式市場とBRICs

 昨年10月末から今年10月末までの過去1年の株式を国別に比較してみると、上昇の大きかったのはまさにBRICsであった。
 中国とロシアは70%を超える上昇、インドとブラジルも60%を超えている。NYダウが4%強、日経平均の17%と比較しても上昇率の大きさがわかる。
 これをもってBRICsの実力と結論づけるのは早計かもしれない。一般に変動が大きいのは、それだけリスクも大きいことを示している。ただ以前の危機のときに比べると、明らかに立ち直りが早い。外貨準備高の増加など、危機に対する抵抗力が格段に増したことだけは間違いあるまい。
 ところで最近気になるのは、旧社会主義国家ロシアと現社会主義国家中国の動きである。ともに市場経済に移行しグローバル化の波に乗ってはいるが、社会主義的体質が見え隠れする。
 ロシアは輸入制限や自国産業優遇措置を強めており、EUなどから批判がでている。中国も相変わらず為替管理を続けており、米国の不満が燻る。世界が危機後のグローバル経済を模索する中、体制の異なる国が市場経済に参入ししかもその存在感を強めていることは、将来の市場の波乱要因にならないかと心配である。
 折しも世界20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議がイギリスで開催されている。今後の金融規制のあり方などを議論しているようだが、そろそろ市場経済への参入ルールをより厳格にする議論も必要なのではないだろうか。

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2009年11月06日

過剰債務の調整は突然やってくる

 米国のサブプライム問題に端を発した今回の金融・経済危機、それは昨年のリーマンショックをきっかけに極めて急激かつ暴力的にやってきた。米家計が借金によって膨らませた消費が、ついに持続可能な限界を超えたことによる市場からの反撃と理解できる。サブプライム問題は単なるきっかけであって、危機は起こるべくして起きたのかもしれない。
 こんなことを言うのは非常に不謹慎かもしれないが、同じことが日本の政府部門の借金についても当てはまるような気がしてならない。折しもIMFは、2014年の日本の債務残高がGDPの250%に達するとの見通しを発表している。
 直近日本の長期金利がじわり上昇している。新発10年物国債の入札が不調であったことなどが理由という。ただこれは将来に対する警鐘であって、もし万一国の借金が持続可能な限界を超えた場合、長期金利の上昇はそんなゆっくりしたペースでの上昇ではすまないだろう。突然津波のように襲ってくるに違いない。まさに急激かつ暴力的な調整が起こる可能性が高い。
 高齢化で社会保障費は増える一方である。このままでは国の借金は必然的に増えていく。手遅れになる前に手を打たなければならない。同じIMFが今年7月に行った見通しでは、日本の借金が金融資産を上回るのは2019年だという。つまりその頃が持続可能な限界ということか。
 残された時間はあと10年?新政権には旧来のやり方の延長線上ではない、持続可能な変革に果敢に取り組んでもらいたいものである。

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2009年11月05日

郵政民営化見直しで何が変わる?

 株式売却凍結法案の閣議決定や経営者交代など、郵政民営化の見直しが急ピッチで進んでいる。
 そもそも郵政民営化だが、ゆう貯銀行とかんぽ生命保険の金融2社については、2017年9月までに株式の売却が行われ、完全民営化されることになっていた。それが凍結され経営者も変わることで、当分実質国営会社の状態が続くことになる。
 ところで郵政民営化については、いったい何が問題となっているのか。今ひとつわかりにくい。テレビ討論などを聞いていても、郵政民営化を推進した竹中元総務大臣と民営化反対論者との間では、民営化のメリットなど見方が180度異なる。
 少し乱暴な結論かもしれないが、最も本質的な問題は、国民から預かった巨額マネーの行方ではないかと思う。つまり金融機関としての運用方法である。現在ゆう貯マネーは、約8割が国債や政府保証債で運用されている。これが完全民営化されると、株式や海外債権などリスク資産で運用される割合が高まる?あるいは海外ファンドなどに乗っ取られる恐れがある?
 そこまで想像するのは杞憂かもしれないが、いずれにしても資金の運用方法が変わる可能性はあろう。真に預金者や国民のためになる運用とはどのような運用なのか。その答えが出るまでには、まだまだ紆余曲折がありそうな気がする。

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