世界がまだグローバルな成長を謳歌していた時前議長は、過熱気味な金融資本市場を沈静化すべく政策金利を引き上げたにもかかわらず、長期金利がなかなか上がらないのを謎と言った。その後バーナンキ現議長の時代に金融危機が発生した。当局は危機が破局に至るのを回避すべく、財政金融政策を総動員した。そのかいあってか、今年3月を底に世界経済は何とか危機を乗り切ったようにみえた。事実リスク資産に再び資金が向かうようになり、株式や商品市場は活気を取り戻した。
しかしここにきて市場は調整を余儀なくされている。その理由の1つが長期金利の上昇ではないか。金融資本市場が少し過熱気味になっただけで、政策金利が非常時の緩和を維持しているにもかかわらず長期金利は急騰した。これはまさにグリーンスパン議長の「謎」の逆である。「謎」の時代は金融資本市場の過熱(政策金利の引き上げ)に対して、長期金利の感度が非常に鈍かった。しかし危機後の今は逆に、長期金利の感度が非常に敏感である。
その原因を探るといわゆる「資産効果」に行き当たる。グリーンスパンの時代は住宅や株などの資産効果がフルに働いており、容易に信用創造ができた。これが国全体の信用創造にもつながり、長期金利が上昇しにくかった。今はむしろ逆資産効果(の恐れ)が働き、信用を膨らまそうとするとすぐにブレーキがかかる。国全体も同様で、長期金利がすぐ上昇するのではないか。
結局信用バブルの調整はまだ終わっていないようだ。日本の失われた10年ほどかどうかは別として、金融資本市場の本格的な回復にはまだかなり時間がかかるということか。
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