2009年07月09日

グリーンスパンの謎が解けた?

 米連邦準備理事会(FRB)前議長グリーンスパン氏の「謎」の正体が明らかになった?
 世界がまだグローバルな成長を謳歌していた時前議長は、過熱気味な金融資本市場を沈静化すべく政策金利を引き上げたにもかかわらず、長期金利がなかなか上がらないのを謎と言った。その後バーナンキ現議長の時代に金融危機が発生した。当局は危機が破局に至るのを回避すべく、財政金融政策を総動員した。そのかいあってか、今年3月を底に世界経済は何とか危機を乗り切ったようにみえた。事実リスク資産に再び資金が向かうようになり、株式や商品市場は活気を取り戻した。
 しかしここにきて市場は調整を余儀なくされている。その理由の1つが長期金利の上昇ではないか。金融資本市場が少し過熱気味になっただけで、政策金利が非常時の緩和を維持しているにもかかわらず長期金利は急騰した。これはまさにグリーンスパン議長の「謎」の逆である。「謎」の時代は金融資本市場の過熱(政策金利の引き上げ)に対して、長期金利の感度が非常に鈍かった。しかし危機後の今は逆に、長期金利の感度が非常に敏感である。
 その原因を探るといわゆる「資産効果」に行き当たる。グリーンスパンの時代は住宅や株などの資産効果がフルに働いており、容易に信用創造ができた。これが国全体の信用創造にもつながり、長期金利が上昇しにくかった。今はむしろ逆資産効果(の恐れ)が働き、信用を膨らまそうとするとすぐにブレーキがかかる。国全体も同様で、長期金利がすぐ上昇するのではないか。
 結局信用バブルの調整はまだ終わっていないようだ。日本の失われた10年ほどかどうかは別として、金融資本市場の本格的な回復にはまだかなり時間がかかるということか。

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2009年07月08日

わが国の借金は世界最悪へ

 景気対策とはいえバラマキと批判の強い大型補正予算、財源は国債の発行すなわち借金である。日本の国全体の借金(総債務)は、IMF資料によると昨年まで対GDP比で190%台だった。それが2009年に入るとついに200%の大台にのり、2010年には227.4%に達する見込みである。何と2位のイタリアの2倍近い比率である。
 これに対して従来、次のような理由で心配ないといわれてきた。
 1つ目の理由:日本は保有資産も大きいので、総債務から資産を引いた純債務はそれほど大きくないというもの。しかし2008年まで80%台だった純債務も2009年には100%の大台にのり、2010年には114.8%が見込まれ、世界トップのイタリアとほぼ肩を並べる。
 2つ目の理由:日本国債のほとんどは日本人が買っている。米国債の買い手の48%が外国人なのに比べ、日本国債を外国人が買っている比率は8%に過ぎない。しかしこれについても問題がある。現在米国の貯蓄率は上昇中なのに対して、日本の貯蓄率は下降中である。日本人によって今後も順調に国債が消化できるかどうかは予断を許さない。
 先のことを考えないバラマキ政策は財政規律を破壊する。そのつけはいずれ日本国民が背負うことになる。例えば本来資産として残すべき箱物などのうち、単なるコンクリートや鉄の塊りになってしまうようなものはないかなど。ここは是非長期的視点に立って、お金の使い道を厳密にチェックし、将来世代のためになる賢い投資に徹して欲しいものである。

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2009年07月07日

商品市場から投機筋を排除できるか?

 原油や穀物などの商品市場、その市場規模は株式市場などと比べるとはるかに小さい。そんな商品市場に投機筋がなだれ込むと、価格は大きく乱高下する。実際WTI原油先物価格は、1バレル140ドル台に急騰したかと思うと、次は30ドル台に急降下した。一説によると、実需筋以外の投機筋が取引の半分以上を占めていたとの指摘もあった。
 困ったことに商品市場の価格は、ガソリンや食料品など生活必需品の価格に直結する。それらが乱高下するようでは安心して生活もできない。そこで商品価格を不安定にする投機筋を商品市場から排除する規制強化論が登場する。
 ただそれにも問題がある。投機筋と実需筋をどうやって区別するかだ。例えばゴールドマンサックスなどは自身の石油タンクを保有しており、実需筋として取引を行っている。しかし実際には投機筋の取引を肩代わりしているケースも十分考えられる。なかなか投機だけを実需から区別することは難しいようだ。
 新たな金融規制のあり方が議論される中、人々の生活と密着した商品市場の規制のあり方についても、大いなる議論が望まれるところである。

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2009年07月06日

何歳からを高齢者と呼ぶべきか?

 先日ある人から高齢者に関する著作が送られてきた。その中で著者は、「高齢者は75歳から」との持論を述べていた。
 そもそも65歳以上を高齢者と呼ぶようになったのは、1956年に国際連合が65歳以上を「高齢者」とし、それが全人口に占める比率を「高齢化率」としたのが始まりらしい。当時先進国の高齢化率は10%前後だった。日本でも60歳以上を老年人口としていたのを、1965年に65歳以上と改めた。ちなみにその頃の高齢化率は6%前後であった。
 現在わが国の高齢化率は22%を超えている。今世紀半ばには4割に達すると予想されている。高齢者はもはや少数派ではない。さらに75歳くらいまではほとんどの高齢者は弱者でもない。そうなると確かに高齢者と呼ぶことに違和感を覚えるのもうなずける。
 いまだに65歳以上を高齢者とするのは、年金や医療制度、あるいは各種統計データ等との整合性や一貫性を考慮?いわば行政用の言葉?だとしたら行政用の呼び方は別の言葉(例えばシニアなど)に変えて、「高齢者」と呼ぶ年齢は、長寿化の実態に合わせて引き上げたらどうか。例えば75歳以上など。
 65歳になってもそれ以前と全く変わらず元気なのに、突然高齢者と呼ばれる心理的影響は大きいのではないか。やはりここはもう少し言葉の使い方を大切に考えた方がよいと思うのだが、いかがでしょうか?

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2009年07月05日

核家族化から連結家計化へ

 団塊世代が働き盛りに入る高度成長期に、わが国では核家族化が進んだ。家屋も家計も子は親から独立、自立の道を歩んだ。そして現在、団塊世代もそろそろ定年退職の時期を迎える。
 ところで1400兆円を超える日本の個人金融資産は、極端に高齢者にかたよっている。若い頃こつこつと貯めた結果と考えれば当然かもしれない。退職後の高齢者はフローの収入がなくなるので、今度はこれまで貯めた貯蓄を取り崩していくことになる。
 しかし問題は現在の若年層である。企業は人件費を抑えるのに躍起で、フローの収入が一向に増えない。ひっきょうこつこつ貯めるべき貯蓄もできない。貯蓄率は下がる一方で、このままでは高齢者になってからも取り崩すべき貯蓄が貯まらない。
 そこで解決方法として最近考えられているのが、親と子の連結家計という概念?これは親と子が同居はしない。つまり家屋はあくまで別々である。しかし家計は親と子が協力する。貯蓄のある親とフロー収入のある子が家計面で補完しあう。連結家計によって親子双方が安心できるというわけだ。
 ますます高齢化が進む中で、企業はグローバル競争に勝ち抜くため人件費抑制を余儀なくされている。そんな超高齢社会を生き抜く知恵として、連結家計について真剣に考えてみてはどうか?

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2009年07月04日

高齢者の小遣いは何に使われているのか

 先日、ある高齢社会研究財団から調査レポートが送られてきた。その中に興味深いくだりがあった。高齢者の小遣いについてである。
 比較的恵まれている一般的な高齢者の小遣いは、月平均4〜6万円程度。興味深かったのはその使い道である。
 人との付き合い、外食、旅行、買い物、スポーツなどが小遣いの主な用途だ。費目であらわすと、交通費、外食費、通信費、交際費、その他といったところか。
 これらに共通しているキーワードは、「外出&付き合い」である。つまり高齢者の小遣いは、ほとんど外出と人との付き合いのために使われている。元気で使える小遣いがあるうちは、高齢者といえども外に出て人と交流したいのである。家にこもってじっとしてなどいたくないのである。
 高齢者に働く場を提供することの重要性は、何もお金を稼ぐことだけが目的ではない。外に出て人と交流する機会が与えられること、すなわち高齢者にも居場所を与えることができるのが大きい。それが高齢者の生きがいにもなるということを、改めて納得させられる調査結果であった。

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2009年07月03日

久し振りに米雇用統計のインパクト

 2日、米労働省が発表した雇用統計は、久し振りにニューヨーク市場にインパクトを与えた。6月の非農業部門雇用者数は、前月より467千人減少した。これは市場予想の367千人減少を大きく超える減少幅で、マイナスのサプライズとなった。
 ダウ工業株30種平均は、前日より223.32ドル安い8280.74ドルに下落、5月22日以来約1ヵ月半ぶりの安値となった。1日の下げ幅も4月20日以来約2ヵ月半ぶりの大きさだった。欧州の株価も軒並み下げ、為替は円高が進行した。
 もともと米雇用統計は、市場に与えるインパクトが大きい経済指標として知られているが、2日は改めてそのことを認識させられる結果となった。5月の米雇用統計は前月差345千人減(修正値は322減)で、米雇用環境も下げ止まったかにみえたが、今回再び減少幅が拡大した。
 回復への道のりは険しい。特に失業率は景気回復に遅行する傾向があり、これからも引き続き上昇していくことが予想される。一本道の回復は見込みがたく、今後も紆余曲折があることを覚悟しておかなければならないということか。

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2009年07月02日

金融規制改革の目玉は「大きすぎてつぶせない」からの脱却?

 世界経済にもようやく景気底入れの兆しがみえてきた。そもそも今回の金融危機を引き起こした張本人は、あまりにも巨大化した信用バブルであり、その崩壊のインパクトは当初の予想をはるかに超えるものであった。そこで再び危機を起こさないよう、様々な金融規制改革への取り組みが始まっている。
 現在検討されている規制改革の重要なポイントの1つは、いかにして個別金融機関の危機が金融システム全体の危機へ波及するのを防ぐかということである。昨年秋のリーマン・ブラザーズの破綻が、金融システム全体に与えたインパクトの大きさをみれば、その重要性が理解できよう。リーマンショックに懲りた当局は、その後相次いだ個別金融機関の危機の際、それらをつぶさないために多額の公的資金をつぎ込まざるをえなくなった。まさしく大きすぎてつぶせなかったのである。
 相互依存型の信用システムが、「赤信号皆で渡れば恐くない」現象を生み、バブルを制御不能なまでに膨らませた。そこで新たな金融規制改革では、本来リスクを取らなければならない責任者を明確にし、無責任なリスク移転合戦ができないようにする必要がある。つまり個別金融機関の危機と、金融システム全体の危機とを遮断することが不可欠となる。
 そのための仕組みづくりは始まったばかりである。人間のやることに完璧はありえない。今後何度か試行錯誤を繰り返していくことになろう。しかしそれは世界の金融システムの安定化のために避けて通れない道である。

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2009年07月01日

米上院60議席は経済にプラスか?

 米民主党の上院での議席数が60議席に達した。共和党の議事妨害を阻止できる絶対安定多数で、下院の過半数とあわせて民主党が議会を完全に掌握したことになる。民主党に支えられているオバマ大統領にとっては、議会対応がよりやりやすくなったといえよう。
 景気は下げ止まりの兆候が出てきたとはいえ、いまだ金融経済危機から完全に脱出したとはいえない状況である。2番底も危惧される中、米政府や金融当局が追加の対策を迫られる可能性も残されている。その時迅速な実行の障害になるのが議会対応であろう。必要な対策や人事の遅れは危機を増幅する。今回のミネソタ州での民主党の勝利は、オバマ大統領の政策遂行にとって追い風となるのは間違いない。
 ただ思い切った政策の実行がやりやすくなる分、それだけオバマ政権の責任も重くなる。誤まった決断は許されない。熟慮の上にも熟慮を重ね、決まったら果敢に行動することが求められる。
 幸い今までのところオバマ政権は、危機を乗り切るために適切な政策運営を行っているようにみえる。引き続き各分野の最高頭脳を結集し、完全に危機を克服するまで頑張り続けることを願っている。

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2009年06月30日

生きがいとは理想を追い求めること?

 先日知人のブログで、サミュエル・ウルマンの詩「青春=YOUTH」に関する記事を拝見、改めて感銘を受けた。ご存知の方も多いと思うが、詩の中でウルマンは次のように詩っている。
 「青春とは人生の一時期のことではなく、心のあり方のことである。」
 「年を重ねただけでは人は老いない、理想を失う時に初めて老いがくる。」
 この詩は、ダグラス・マッカーサー元帥や松下幸之助氏も座右の銘にしたという。
 人間は「生きがい」をなくすと老けたり病気になりやすくなるらしい。高齢者でも、働いている人と働いていない人を比べると、何らかの形で働いている人の方が病気になる割合が少ないというデータもある。
 どうやらウルマンの言う「理想」と、日本語の「生きがい」との間には相通じるものがあるようだ。年をとっても働くことによって少しでも生きがいを感じることができれば、ウルマン流に言えば老いない。
 超高齢社会を暗いイメージから明るいイメージに変えるポイントは、やはり1人でも多くの高齢者が、生きがいを持って働くことができる社会にすることだという思いを改めて強くしたウルマンの詩であった。

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